映画と小説、どちらが優れている? 小説版アリスとテレスのまぼろし工場を読んで
先日映画館で観た「アリスとテレスのまぼろし工場」ですが、小説版も読んでみました。
映画と小説に同時期に触れて、どっちのほうが良かったかな?と思いまとめてみました。
映画と小説の関係
映画と小説の関係には、以下の二パターンあるかと思います。
1. 原作小説があっての映画化
2. 映画からのノベライズ版小説
今回のアリスとテレスのまぼろし工場は一応パターン1の方ですね。
一応と書いたのは、基本的に多くの映画では映画の監督と小説を書く人が別のパターンが多いかと思います。
しかし、今作は監督もノベライズも岡田麿里さんです!
他の人が映画化をすると、小説と映画で解釈だったり表現が異なるかもと思ってしまいますが、御本人が両方担当されているのでその心配は無いでしょう。
映画版と小説版、両方を鑑賞したのでそれぞれを比較してみようかと思います。
※ここから作品の内容にも一部触れるので、ネタバレしても問題ない方だけ続きをどうぞ
小説の利点
小説ならではの細かい情報や描写
映画でも小説でも、正宗達がある程度同じ日を繰り返しているんだなということを感じ取ることはできます。
しかし、映画ではなぜか正宗が車を運転しています。
一応「許された権利が運転」のようなセリフはあるので、勝手に運転している訳ではないということくらいはわかりますが、それ以上の説明はなかったかと思います。
一方、小説版では市民生活課から大人の権利が与えられるタイミングに案内があり、パチンコや煙草といった大人にならないとできないことから多数決でなにかが許されるという旨の説明があります。
大人になった今、もしも大人の権利が一つだけ許されるなら特に田舎であれば運転というのはラッキーなのかなと思います。
しかし、子供の時代であれば飲酒や煙草への憧れもあるでしょうし、あまり嬉しく思わないのも分からなくはありません。
また、他の権利と違って運転ができるとなると人や荷物運びで便利に使われそうという意味では必ずしも喜ばしくないかもしれなくて難しいですね。
聞き逃しが無い
本作は特にプロの声優さんが声を当てているので、滑舌が悪いとかはなかったと思います。しかし、どうしても他の音と被ったり予期せぬ単語だったりで「今なんて言ったんだろう?」となることはあります。基本的には前後で補完できて問題にはなりませんが、聞き逃しが無いに越したことはないですよね。
映画の利点
映画の利点について触れる前に、ちょうどつい最近主題歌のフルMVが公開されたので、これを観てから読んでいただけると納得いただけるんじゃ無いかなと思います。
※MVが割りと物語の核心的な部分まで映しているので、改めてネタバレ注意です。
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絵、映像の綺麗さ
本作は何と言ってもきれいな映像も魅力の一つでは無いでしょうか。夜の景色の美しさもありますし、廃墟の美もあります。
映画館のスクリーンで観てて、廃墟マニアが作ってる?と思うくらい現実世界の廃工場が美しかった記憶があります。
BGM(主題歌)
本作は映像も素晴らしいですが音楽、特に主題歌の「心音」も素晴らしいです。
中嶋みゆきさんの曲というと、個人的に「時代」や「空と君のあいだに」といった曲が浮かぶので最初聞いたときは、歌声の力強さが抑えめだなという印象でした。
しかし、本編を観てからエンドロールで「心音」を聴くと、本編の余韻に丁度良いなと印象が変わりました。
結論
本作に関して、小説は映像だけでは分からない細かな描写を、映画は文字だけでは表現されない景色や音楽による盛り上げと、映画と小説が互いに補完し合っていてどちらも良いなと感じました。