テクノロキャンバス

プログラミングや読んだ本、訪れた美術館についてアウトプットしようと思っています。

「超絶技巧、未来へ!」を観に行ってきました

先日、三井記念美術館に「超絶技巧、未来へ!」を観に行ってきました。

www.mitsui-museum.jp

こちらの企画展は現代の作家さんによる金属や木・ガラスなど様々な素材の超絶技巧な作品と、そのルーツとも言える明治時代の工芸品を展示した企画です。2014年、2017年にも同様の企画展をしていて、今回はその第3弾です。 休日に行ったのですが、それなりに人のいる人気な企画展でした。 *1 また、この企画展は2023年の2月をスタートとして、25年1月まで全国7箇所を巡回する内の4箇所目なので、ちょうど折返しとも言えますね。

たくさん作品が展示されていて、当然全部に言及することはできないので、この記事では特に印象に残った作品を作家さん毎に語っていきたいと思います。

福田亨さん(木彫)

福田亨さんの作品は立体象嵌という独自の技法だそうで、木を嵌めあわせて作っているそうです。写真の蝶も木を嵌めあわせたもので、福田さんの作品では無着色なもとの木材の色だけで全てを表現しているとのことです。水滴部分も木材・無着色だそうで、下の板を水滴の部分だけ残して掘り下げることで表面張力を表現し、研磨を重ねることで艶を出しているとのことです!アイデアも執念もすさまじい作品だなという印象でした。

岩崎努さん(木彫)

岩崎努さんの作品では、竹の子を木彫りで再現した作品に「特定の個体を再現しているのではなく、複数の個体から理想の個体を作った」という解説がありました。絵画ではよく写真と違って現実そのままを描く必要が無いというのは言われますが、立体物も必ずしも現実を再現する必要はないんだよなということを改めて感じました。

池田晃将さん(螺鈿、漆工)

池田さんの作品は漆工芸の技法の一種である螺鈿(らでん)という手法で作られています。螺鈿は簡単に言うと工芸品に貝殻を貼ったり嵌め込んで装飾する手法です。

一般的な螺鈿による装飾は模様もしくは蝶や葉といったモチーフの装飾ですが、池田さんの螺鈿は数字だったりデジタルな感じの模様だったりします。 伝統的な工芸手法と現代的なデザインがマッチした、とても好きな作風でした。

金工(明治時代)

明治時代の花瓶に「正月玩具のぶりぶりを模した形となっている」という解説がありました。現地では「ぶりぶり?」となっていましたが、振振毬杖(ぶりぶりぎっちょう)という玩具が昔はあったのですね。作品の技法とは直接関係ないですが、ひとつ賢く慣れた気がします(笑)

図録

さて、ここまで色々と書いてきましたが、流石に全部覚えていたわけではありません。今回の企画展では、図録を購入してしまいました。2750円で図録としては高すぎない価格なのかなと思います。しかしこの値段で(たぶん)全作品の写真が載っています。また、後半には作家さんや作品の解説も載っていて会場では知ることのできなかった情報も載っているとても満足度の高い図録であり、読むともう一度展示観に行きたくなってしまうそんな一冊でした。

蛇足(美術館の内装・雰囲気等)

三井記念美術自体は初めて行ったのですが、建物の内装やエレベーターがレトロな、とても雰囲気の良い空間でした。*2また、展示の性質や場所柄(日本橋)もあるのか年齢層は若干高めで人はそこそこ居ましたが比較的落ち着いて鑑賞できました。

*1:伝わるかは別ですが、サントリー美術館の込み具合とちょうど同じくらいな印象でした。

*2:エレベーターは写真に撮ったのですが、もう少し内装の写真も撮ってくればよかったですね